働き盛りの健康そうな男性が、朝起きたら突然亡くなっていたという、夜間の突然死が報告されます。解剖しても、心臓が停止するような病気が見つからず、日本では“ぽっくり病”とも呼ばれていました。近年、この原因の1つとして、「ブルガダ症候群(Brugada症候群)」が注目されています。日本を含むアジアで中年男性を中心に多く報告され、この病気を最初に報告したBrugada先生の名が付けられ「ブルガダ症候群」と呼ばれています。
ブルガダ症候群は、「ブルガダ型」という特徴的な心電図所見を示し、「心室細動」による突然死を引き起こします。ブルガダ症候群と診断されても直ちに突然死につながる訳ではありませんが、身内に突然死した人が居るとか、過去に失神した事がある場合には要注意です。しかし、健康診断で、類似の心電図所見からコンピューター自動診断で「ブルガダ症候群の疑い」と診断され、受診者に大きな不安を与えるケースが増えて問題になっています。心停止からの蘇生や失神の経験がある場合を「症候性ブルガダ症候群」、ない場合を「無症候性ブルガダ症候群」と呼んでいます。突然死の発症率は、無症候性ブルガダ症候群で年間1%未満、症候性ブルガダ症候群では年間約10%と報告されています。健康診断で「ブルガダ症候群の疑い」とされても直ぐ不安に思う事はありませんが、専門医の判断を一度は仰ぎましょう。
心室細動に対処するには、「植え込み型除細動器」が唯一の治療法です。ただし、ブルガダ症候群のうち、どんな人に心室細動が起こるのかは、今のところ予測がつきません。但し、次のような人は、リスクが高いと判断され、植え込み型除細動器の使用が勧められます。