小川聡クリニック

読んで役立つ院長の医学講座 〜圧倒的な臨床経験と知識に裏打ちされた院長からのメッセージです〜

第4回「治療すべき不整脈とは?」

不整脈の治療に当たって大切なことは、様々種類がある中からどの不整脈が出ているのかを決めることです。自覚症状からでも、かなり診断を絞る事はできますが、やはり心電図での診断が必要です。常時出ている不整脈なら、受診した際の心電図検査で確認できますが、発作的に起こる様な場合には、自覚症状がでた際の情報が不可欠です。ご自分で、手首の脈を取り、そのリズムが乱れてないか、1分間に何回打っているかだけでもチェックして欲しいと思います。
 当クリニックでは、患者さんに携帯してもらえる掌サイズの心電計を貸し出して、次の発作が出たときの記録から正確な診断に至ります。その上で治療すべき不整脈かどうかを判断しますが、以下の3種類に集約できます。
 1)不整脈自体がひとたび出れば致死的なもの(心室細動、持続性心室頻拍)、
 2)失神を含め生活に支障を来すほどの強い自覚症状を伴うもの(期外収縮も含みます)、
 3)不整脈自体は重篤ではないものの、致死性不整脈の引き金となったり(心不全患者さんでの心室性期外収縮)、
 放置すると心不全を引き起こしてくる様なもの(高齢者での心房細動、発作性上室性頻拍症など)、です。

 治療法は色々あります。期外収縮などは生活習慣を正したり、精神安定剤で自律神経バランスを整えるだけで治るものが大部分ですが、抗不整脈薬を使う必要がある場合もあります。但し、抗不整脈薬を使うには注意が必要です。健康な方では問題はありませんが、心筋梗塞の前歴があったり、心不全を煩っておられる方では、抗不整脈薬でより重篤な不整脈が引き起こされることがあります。薬が無効な場合には、カテーテルアブレーション法で不整脈源を焼き切る方法もあります。さらに重症な心室細動のリスクが高い方には、植え込み型除細動器を含む高度な治療が必要になることがあります。