小川聡クリニック

読んで役立つ院長の医学講座 〜圧倒的な臨床経験と知識に裏打ちされた院長からのメッセージです〜

第6回「動悸とともにお小水がたくさん出て困る」

夜間頻尿は、前立腺肥大や膀胱機能低下症などでも良く見られる症状ですが、動悸発作とともにたくさんのお小水が出ることをご存知ですか?
前立腺や膀胱の場合には、頻回に尿意をもよおしますが、さっきトイレに行ったばかりなので、少ししか出ないのが特徴です。ところが、心臓が原因の場合は、繰り返し尿意をもよおし、且つ毎回大量に出るのが特徴です。この症状が動悸と一緒に起きる場合には、不整脈、特に心房細動発作の可能性があります。
心房性ナトリウム利尿ペプタイド(atrial natriuretic peputide: ANP)というホルモンが心房から分泌されて、腎臓からの利尿を促すのです。
本来、心臓が弱った際に、心臓を保護するために分泌されるのですが、心房細動では、1分間に400-500回、心房が痙攣した状態になり、心房がプーっと膨れてきますので、それを「体に水が溜まりすぎた心不全だ!」と心臓自身が誤解してしまい、ANPを分泌してしまうのだと考えられています。
こんな時は、ちょっとご自身で脈を取るか(手首の内側で拍動を感じられます)、家庭血圧計で血圧を測ると脈拍数も表示されますので、確認してみましょう。
1分間に90あるいは100以上の脈拍数で、しかも不規則でしたら心房細動が疑われます。そんな時には是非早めに受診してください。携帯型心電計を貸し出しますので、直ぐに診断がつき、治療が始められます。