小川聡クリニック

読んで役立つ院長の医学講座 〜圧倒的な臨床経験と知識に裏打ちされた院長からのメッセージです〜

第4回「狭心症とは?」

前回も出ましたが、「狭心症」とはどのような病気でしょう?

心臓は、毎日およそ10万回、絶え間なく拍動を繰り返しています。そのため心臓の筋肉(心筋)はエネルギー源として常に大量の酸素と栄養分を必要とします。この栄養分を送り込むために、心臓の表面に分布しているのが「冠動脈」です。この冠動脈に動脈硬化が進んで狭窄したり、血管が痙攣して細くなったりすると、途端に心筋が酸欠となり悲鳴をあげます。その悲鳴が「前胸部圧迫感」や「絞扼感」として自覚されるのが狭心症です。放置すると拍動が止まり死に至ることもあります。

ただ、心臓は一番大事な臓器ですので、滅多なことでは酸欠にならないよう、冠動脈を普段流れている血液は、本来心筋が必要とする量をはるかに上回っています。それだけ贅沢に作られています。ですから一寸やそっと冠動脈が狭窄しても酸欠にはなりません。しかし、血管の内腔の75~90%が狭窄してくると、それは限界です。それでも安静にしている時など、脈が少ない時には心筋もあまり酸素を使いませんので、ギリギリ酸素が足りていて悲鳴をあげません。

しかし一度、走ったり、階段を上ったり、精神的に興奮したりした時に拍動が増えるとたちまち酸欠になり、狭心症が出るわけです。少し休んで、脈が下がると、酸欠が消え症状も治まります。これが、いわゆる「労作性狭心症」です。

症状は、あくまでも「前胸部圧迫感」や「胸の真ん中あたりを掌でワシ掴みにしたくなるような絞扼感」です。胸の一点が「キリキリ刺されるように痛む」、「ズキズキする」とか、一瞬で治る痛み、特に運動などで脈が増えない状態でも起きる時は狭心症でないといって間違いありません。