小川聡クリニック

読んで役立つ院長の医学講座 〜圧倒的な臨床経験と知識に裏打ちされた院長からのメッセージです〜

第5回カテーテルアブレーション法

前回お話した、心房細動の「リズム治療」の方法として、抗不整脈薬だけでなく、カテーテルアブレーション法(カテーテル焼灼術)が注目されています。
他の種類の不整脈には、以前から使用され好成績を挙げていた治療法ですが、最近10年間で技術革新があり、心房細動治療にも応用される機会が増えてきました。この治療法は入院(3-4日間)が必要で、手や足の血管から数本の細い管(カテーテル)を心臓に送り込み、心房あるいは左心房につながる肺静脈の病変部を高周波で灼き切る治療法です。最近では冷凍凝固法も使われます。いわゆる「観血的治療」と言われ、心臓に管を挿入することによる出血などのリスクの他、治療中に脳梗塞を併発するなど、命に関わる合併症もあり得ます。施設あるいは術者によって、あるいは発作性か持続性心房細動かによって、成績は異なりますが、一般的には70~90%で成功すると言われています。根治術を謳っていますが、術後再発例もみられます。本来、命に関わらない心房細動ですので、この治療法を選択すべきかどうかは慎重に決めるべきです。抗不整脈薬が無効とか、強い自覚症状がある場合などに限られます。