小川聡クリニック

読んで役立つ院長の医学講座 〜圧倒的な臨床経験と知識に裏打ちされた院長からのメッセージです〜

第2回心房細動はなぜ怖い?

心房細動自体は、症状がひどい割に命に関わる不整脈ではありません。

階段を昇ったり、運動した時に脈が異常に早くなるので、人より早く息が上がったりして、QOL(生活の質)は落ちます。それよりも一番の問題は、心房が痙攣状態なので血液の流れが滞り、小さな血の塊(血栓)ができることです。それが、心房の壁から剥がれて、心室に流れ込み、さらに大動脈から全身に回ってしまうことです。特に血流の加減で、頸動脈から脳へ流れることが多く、脳の血管に詰まることで脳梗塞を起こします。これを、「心臓に由来する脳梗塞」という意味で、「心原性脳梗塞」と呼びます。動脈硬化による通常の脳梗塞と比べて、重症で、死亡する危険性も高く、生き残れても半身不随などの大きな後遺症を残します。これが、心房細動の一番怖い合併症です。絶対に回避しないとなりません。今は、心原性脳梗塞は適切な薬で有効に予防できます。肝心なことは、自分が心房細動にかかっていることを早く知り、専門医の治療を受けることです。